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お経の種類と考え方

お経 

現代の日本に於きまして 多くの方々は旅立ちの儀式は仏式を選択されております。旅立ちの儀式は葬送儀礼と言われますが、一般的には それを略して葬儀と呼ばれます。本来の仏教では 葬送儀礼は重視される儀式では有りませんでした。釈尊(釈迦の敬称)は弟子に死後の遺骸の処置を問われた時に “僧侶は遺骸の供養などは考えず、真理の追求に専念すべき、供養は在家の信者がしてくれる。”と答えたと伝えられます。この考えの一部は現在でも継承されて居り、僧侶は ご遺体 ご遺骨 墓石には触れないものとされます。しかし 仏教がインドから中国へ伝播すると 中国 漢民俗が信奉してきた道教や儒教の先祖供養の民間信仰と習合し、葬送儀礼も仏教に於ける儀式の一つとなって行きました。その中国仏教は 飛鳥時代に日本に伝来し 皇室や豪族の信仰の対象となって日本国内に浸透して行きました。更に 鎌倉時代には 庶民の間にも広がりを見せ、庶民の間でも葬送儀礼が行われ始めます。そして 江戸時代 寺檀制度を基とした檀家制度が全国に定着すると、葬送儀礼は仏教に於ける重要な儀式となりました。仏教に於ける葬送儀礼の主要な部分が 読経と呼ばれる 経典の読誦です。キリスト教の“聖書”、イスラム教の“コーラン”に当る、仏教の経典に当るものが“お経”です。お経は 教(釈迦の教え、本来のお経)、律(僧が守るべき社会生活上の掟)、論(後世の仏教学者によるお経の内容の注釈)の三部(三蔵経という)により構成されます。お経は インドではバーリ語(小乗仏教)サンスクリット語(大乗仏教)で書かれて居りましたが、中国に伝わった後に中国語(漢字)に翻訳され、日本へは漢字で伝えられました。お経の種類は俗に八万四千あると言われますが、正確には不明です。主なお経としては以下のお経が有ります。

-般若心経(はんやしんきょう)
 大般若経(全600巻)のエッセンスを簡潔にまとめたもの。智慧で彼岸(悟りの世界)へ渡る事を説いた経典。
-法華経(ほけきょう)
 最澄の天台宗、日蓮の日蓮宗の教えで①一条妙法;万人を平等に成仏させる教え、②久遠本仏;釈迦の永遠の生命について説く、③菩薩行道;現実社会での実践について説く、の三部から成る。
-観音経(かんのんきょう)
 法華経の第25章で 何時でも、何処でも救いを与える観世音菩薩の功徳に付いて述べたもの。
-阿弥陀経(あみだきょう)
 浄土教の最も重要な教典で 極楽浄土がどんな所か、どうすれば極楽浄土に往生出来るかを説いている。

この他のも維摩経(ゆいまきょう)、経集(きょうしゅう)、法句経(ほうくきょう)、涅槃経、開経偈(かいきょうげ)、四弘誓願文、正信偈等があります。
 仏式の葬送儀礼では 僧侶によるお経の読誦が主体となりますが、これは お経の読誦や 念仏を唱えることは 浄土へ往生する為の正行の一つである との教えに基ずきます。
葬送儀礼の中で 読経は ご逝去の直前、通夜式、葬儀式、火葬炉前、納骨式(埋葬式)、各種の法要などで行われます。